Yahoo! BBの謎2001.-9

1.「Yahoo! BB」の法令上の仕組
 「Yahoo! BB」と名前がついていますので、Yahoo! JAPAN(ヤフー株式会社)か、親会社のソフトバンク株式会社が一般第二種電気通信事業者(インターネット事業等)の届出をしてあるように見えますが…実は違います。
ビー・ビー・テクノロジー株式会社という、ソフトバンクグループの会社が届出をしており、「Yahoo! BB」サービスの実際の運営は、この会社が行っていることになります。
 従って、無用なトラブルを避けるためには、「Yahoo! BB」サービスの利用契約を結ぶ際に「Yahoo! BBサービス会員規約(基本契約約款・2000.9.20改定)」の他に、「BBテクノロジーサービス規約」「受信装置レンタル約款」に目を通した上で契約を結ぶ必要があります。
 なお、いずれの規約にも書いてある「専属的合意管轄裁判所は東京地方裁判所または東京簡易裁判所とする」という条項および「免責条項」は絶対的なものではありませんので、発生した事件の内容によって手続きなどが変わってきます。
 いずれの場合でも、不審な点・困った点があった場合には、一般第二種電気通信事業者の監督官庁である総務省総合通信基盤局電気通信部や最寄の総合通信局・電気通信消費者相談センターまで相談されるのがよいかと思います。

2.「Yahoo! BB」の「下り最大8Mbps、上り最大900kbps」の根拠と懐疑性
 NTT東西地域会社のADSLサービス「フレッツADSL」が「下り最大1.5Mbps、上り最大512kbps」なのに対して、「Yahoo! BB」は「下り最大8Mbps、上り最大900kbps」として、これを売りにしていますが…どうしてここまで違うのか。
…簡単に言うと、システムの違いです。
 ADSLには、国際電気通信連合(ITU)が出した勧告に基づいて規格が定められており、「Annex-A」(北米仕様)、「Annex-B」(欧州仕様)、「Annex-C」(日本仕様)の3つの標準規格が存在します(厳密には少し違いますが)。どの規格を使っているかによって、速度に差が出てきます。「Annex-B」(欧州仕様)については、日本では原則として使用されないので説明を省きます。
 「Annex-A」はADSLのフルスペックといえる部類に入るもので、「Yahoo! BB」はこの「Annex-A」を標準としている。
 「Annex-C」は日本独特のADSL規格で、「フレッツADSL」はこの方式を採用しています。
 単純に考えれば、フルスペックの「Annex-A」の方が優れているのではないかという話になるのですが…日本の場合は例外が存在するためにそうとは言えません。
 「Annex-A」で使用するADSL周波数帯域は、日本で普及しているTCM方式(ピンポン伝送方式)ISDNの周波数帯域に一部重なっているため、ごく近い距離にISDNの線があるだけでも通信障害を起こし、伝送距離と伝送速度が極端に落ちるケースがあるのです。
 「Annex-C」はこのTCM方式(ピンポン伝送方式)ISDNからの干渉を防ぐ技術であるDBM方式が採用されているもので、「フレッツADSL」でコストの安い「Annex-A」ではなく「Annex-C」が使用されているのはこういう理由によるものです。
 とはいえ、必ずしも「Annex-A」がだめというわけではありません。運用がしっかりされていれば、適切な速度はほぼ確保されると思ってよいかと思います。
単純な判断基準としては
「交換局からの距離が近ければAnnex-Aが有利かもしれない」が、
「交換局からの距離が遠いならAnnex-Cが有利かもしれない」といったところです。
都市部の場合、1.5〜2kmが概ね「Annex-A」と「Annex-C」の分岐点になるかと思われます。
 ただ、どちらの方式にしても「ベスト・エフォード型」のサービスであり、実際問題として、最終的には「つなげてみないとわからない」というのが実状ですから、「だめで元々で…」ぐらいの心構えは必要かと思います。
 ちなみに。私はフレッツADSLですが、、、概ね1Mbps前後は常に出ています。交換局からは2.4km地点です。…はやい部類に入るらしいですけど(笑

私的主観を言わせていただくとすれば…
「Annex-A」方式のADSLでもつながりさえすれば構わないけれど、サポート体制以前(苦情さえいえない)の運用をしている事業者はお勧めできない。
といったところでしょうか。「Yahoo! BB」のように。



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